砂浜に描いたうたかたの夢





──ミーンミンミンミンミンミーン……。



「んー……?」



夏を感じさせる鳴き声で目が覚めた。


……ここ、どこ?


視線の先には、鉢に入った花と盆栽……ではなく、真っ白な天井。

あれ? 私、さっきまで凪くんの家にいて、一緒に山道を歩いたはず……。


……まさか、夢を見てたの?



「一花……?」



ぼんやりした頭を急いで起動させていると、左隣から名前を呼ばれた。目だけを動かして声の正体を探る。



「おとう、さん……?」



今月で2回目の、充血した真っ赤な瞳。

顔中涙と鼻水だらけでいっぱいになった父が、点滴に繋がれた私の手を握りしめていた。



「あぁ良かった……っ、本当に良かったっ、一花ぁぁぁ……」



返事をしたら、手を強く握られて、しゃくり上げるように泣き始めた。

目を凝らすと、額がほんのり赤くなっている。



「ごめんなっ、一花の気持ち、全然考えないで……っ、毎日頑張ってるのに、労いもせず、酷いことを……っ」

「ううん、私こそ。逆ギレして、生意気な口利いてっ、ボール投げて……っ、ごめんなさい……っ」