砂浜に描いたうたかたの夢

あっけなくひょいと取り上げられてしまい、熱くなった私の頬を両手で挟んできた。



「本当にピュアだねぇ、一花ちゃんは。もう笑っちゃうくらいピュアだよ」

「は、放してよっ」

「将来悪い男に引っかからないか心配だなぁ」

「かからないよっ。弟いるし、男の性質には詳しいほうなんだからっ」

「へぇ〜。じゃあどうして今お顔がりんごみたいに真っ赤なんですかー?」

「うっ、それは……」



指先を当てたままくるくる回して感触を楽しむ、2つ年上の男子高校生。

海辺でからかってきた時と同じ、いたずらっ子みたいな笑顔を浮かべている。


何が『引っかからないか心配だなぁ』だ!

年上の余裕をこれでもかってほど見せつけて、人生経験が少ない年下の心を弄んで!

凪くんが現時点で1番悪い男だよ!



「答えられないってことは、つまり」

「違う! 別に凪くんにドキドキしてるわけじゃないから!」

「……俺まだ何も言ってないんだけど」

「…………」



黙り込むと、目の前の彼からふふふっと笑みが漏れた。

焦ったがゆえに墓穴を掘ってしまった……。