砂浜に描いたうたかたの夢

「1から⁉ 大変じゃなかった⁉」

「いや、それが不思議と苦じゃなくて。夢中になってたみたいで、気づいたら下描きが終わってたんだ」



驚きの声を上げたのも束の間、さらに目を丸くした。

たとえ描きかけだったとしても、また最初から描くのは精神的にも堪えるはずなのに。なんて凄まじい集中力なんだ……。



「2学期に入る頃には調子が戻って、褒められる回数も増えてさ。賞も、入選や入賞を取れるようになったんだよ」

「おおお……眠れる獅子が起きたどころか、覚醒して無双しまくってる……!」

「ふはっ。そんな、眠れる獅子だなんて……」



褒められて照れくさかったのか、顔を隠すように日傘が傾いた。

何その照れ隠しの仕方……可愛すぎる……!
どんな顔してるんだろう? 反対側から覗いて見てみたい!



「……ありがとう。初めて言われたからビックリした」

「えへへ。今も無双してるの?」

「いや……また、眠ったかな」



日傘が傾くも、現れたのは30分前に見たのと同じ顔。

それはつまり──。