砂浜に描いたうたかたの夢

ドアの向こうから催促する声が聞こえた。

やばい、痺れを切らしてる。これ以上待たせるともっとうるさくなるぞ。



「俺まだピチピチの高校生なのに、酔っぱらいの相手なんてしたくないよぉ〜」

「あぁもう分かったから! 分かったから静かにして」



最後の泣き落とし攻撃が効いたのか、ようやく折れてくれた。

良かったぁー。これで準備に専念できる。

焼酎を伯母にバトンタッチ。台所を後にする2人を笑顔で見送った。



「ありがとう」

「別に。てか、なんかごめん。ちょっと言いすぎた」

「ううん。本当のことだし。じゃあ、早速始めますか!」

「おぅ!」



ドアが閉まる音を確認して、急いで作業に取りかかる。

まずは食器棚に隠しておいた桃を取り、皮を剥いてザクザクと一口大に切っていく。お皿に盛りつけたら、次はメイン料理へ。

テーブルに移動し、白い袋から食材を出す。



「智、白ゴマと醤油取って」

「えっ? どこ?」

「電子レンジの横」