砂浜に描いたうたかたの夢

「なるほど。贈るのは桃だけ?」

「ううん。もう1つある」



外に声が漏れないよう、身を寄せて話し合う。



「分かった。じゃあ準備始める時間になったら目配せで合図な。見張りは任せとけ!」

「ありがとう」



詳細を伝えると、協力してもらえることに。

いたずら好きでお調子者な彼が、この時ばかりはほんの少しだけ頼もしく見えた。

よし、作戦開始だ……!







「アハハハハ! こいつ白目剥きすぎだろ〜!」



夕食が終わり、一段落ついた午後6時50分。
テレビに映る犬の寝顔を見て、父が盛大に笑い出した。



「ギャハハ! 口半開き!」



ゲラゲラ笑う声が耳に響いてキンキンする。


うるさいなぁ。そんなに面白いかよ。

と言ってやりたいのだけど、現在父は飲酒中なため、酔っぱらって笑いのツボが浅くなっているのだ。



「ジョニーもこんな風になったりすんの?」

「いやぁ、よだれ垂らしてる時はあるけど、ここまで酷くはないなぁ」

「そうかそうかぁ~。お前はいつも可愛いのかぁ~」