動揺しているのを悟られないよう、とぼけたふりをして聞き返す。



「なんのことって……お前、食料品売り場で会った時、挙動不審だったじゃねーか」



そう言われた途端、顔全体が硬直し、心臓の音が嫌なリズムを刻み始めた。


嘘でしょ……⁉ まさか……!

焦りが顔に表れたのか、智の表情がより険しい色に。



「車に乗ってる時も、着いて中に入る時も、なーんかそわそわしてたし? 俺が行くって言った時も、あからさまに嫌な顔してたもんな」

「そ、そうだったっけ?」



ジリジリと私のほうに足を進める智。
一歩一歩近づくにつれて、こっちも一歩一歩後ずさりする。


やばいやばいやばい。完全に怪しまれてる。

どう切り抜けようか、そう考えているうちに窓にぶつかり、逃げ場がなくなってしまった。



「さてはお前……」



ごくりとつばを飲み込む。

ああああもう終わりだぁぁ。



「……俺に隠れて、美味いもんでも食おうとしてたな?」