砂浜に描いたうたかたの夢

冗談半分で口にすると、視線を逸らしてあからさまに黙り込んだ。



「えっ……まさか図星?」

「……そうだよ。昔から、お小遣いは全部趣味につぎ込んでて。だから万年金欠」



まっ、万年⁉ 毎月お小遣い帳をつけて管理してるタイプかと思ってた……!

絵関連の本とか、画材を爆買いしてたとか? あれだけ沢山描くならすぐ切らしちゃいそうだし。

凪くんの真面目で優等生なイメージが、この数時間でどんどん覆ってる。

言い方は失礼だけど……見掛け倒しも遺伝するのかな。


意外なギャップに驚きつつ歩くこと数分。食料品売り場に到着した。



「桃?」

「うん。せっかくなら、白寿のお祝いも一緒にしようかなって」



青果売り場に向かい、桃を1つ手に取った。


百寿も白寿も、数え年で祝うのが基本だけど、最近は満年齢で祝うのも増えているとのこと。

それならどっちも重なるし、一緒にお祝いしちゃおうと思ったんだ。

手に取っては戻してを繰り返す。