砂浜に描いたうたかたの夢

思わず彼の口を塞いでしまいたくなるほど、当事者でない私でさえ、恐怖で心臓が嫌な音を立てている。

ここで顔写真撮られてたらって考えると……。

ダメだ、これ以上の想像は怖すぎて無理。とにかく、凪くんが無事で本当に良かった。



「これがきっかけで、場所が一発で分かるような写真は載せなくなった。景色の写真とかも、少し日を置いて投稿したり、特徴のある建物が写らないようにして……。徐々に外の写真を減らしていったよ」



切ない眼差しで写真を眺める凪くん。

言われてみれば、こうやって振り返ると、秋から冬にかけて絵の写真のほうが若干多い。

これも、彼女達に勘づかれないため……だったのかな。



「一花ちゃんは8割方食べ物と絵の写真だけど、景色の写真も昔載せてたよね? 三日月のやつ。あれはそこまで問題はないとは思うけど、今後もし載せるなら、マジで気をつけてね」

「きっ、気をつけます……っ」



恐怖が収まらず、震え声で返事をした。


SNSやネットの使い方は、始める前に、家族と先生に教えてもらっていた。だけど、言葉の重みは圧倒的に凪くんのほうが上。

思い出したくないはずなのに、私のために……。