「そうか……。まぁ、会えたのなら話したほうが、お友達もホッとするだろう」

「だよね……」

「ただ、凪くんのことだから、何か事情があるんだよね?」



心を読み取られたのと同時に図星を突かれて、ピクッと肩を揺らした。


直接会えて嬉しかった反面、心の底では、どう説明しようか悩んでいた。

消息を絶っていた理由、絵を贈れない理由、連絡先の交換を拒否した理由。

本当は全部話してしまいたいんだけど、事情が複雑に重なって、何から話せばいいのか……。



「……うん。その子も、色々と悩んでて。余計悩ませたらどうしようって思ってるんだ」



1つ1つ説明したとしても、まず一花の心が問題。

素直で真っ直ぐだから、話に聞き入ってしまいそうだし。
最悪の場合、精神状態を脅かしてしまう恐れもある。

大切な人の人生を、自分の言動で振り回したくはない。


そう伝えると、「凪くんは優しいねぇ」と目を細め、その声色のまま語り始めた。



「ひいじいちゃんは、無理に全部話さなくてもいいと思うよ。お友達のことが心配なのも分かるが、凪くん自身の心も大切」

「……うん」

「でも、その様子だと打ち明けたいんだな?」