ん、甘っ。いつもは塩をかけることが多いけど、これはそのままでもいける。親戚さん、お目が高い。



「昼間に食べるのもいいが、夜に食べるのも風情があっていいねぇ」

「そうだね」



曾祖父に返事をし、庭を見渡す。


一花も今頃聴いてるのかな。
あ、でも虫嫌いだったっけ。セミの抜け殻を描くの、頑なに拒否してたし。

セミの次はスズムシかよって、眉間にシワ寄せて宿題やってたりして。


想像を巡らせながら、柔らかくなったスイカを飲み込む。



「最近、何かいいことでもあったのかい?」

「っ……!」



しかし、不意に飛んできた質問に動揺してしまい、食道ではなく気管に入り込んだ。



「ごめんねぇ、驚かせて」

「ううん……っ」



背中を擦ってもらい、肺から押し出すように咳をする。数回繰り返すと、のどの奥の違和感が消え、胸を撫で下ろした。



「なんで、そう思ったの?」

「ここが、ちょっと嬉しそうに見えたから」



と、しわしわの手で自身の頬を指差した。

ぼんやり考えてただけなのに、そんなに緩んでたのか……。