砂浜に描いたうたかたの夢

「それは大変だね……。俺の学校も宿題は出るけど、全教科はないよ」

「でしょ⁉ それに加えて絵日記もあるんだよ⁉ 進学校だから仕方ないとはいえ、多いよね⁉」



溜まりに溜まっていた愚痴をこぼす。



「絵を描くのは好きだけど、40日分はきついって……。なんでこんな宿題を出したんだぁ……」

「そうだね。学校みたいに毎日どこかに行くわけじゃないもんな」



凪くんは頷きながら、「すごく分かるよ」と共感してくれた。

不思議だな。話を聞いてもらっただけなのに、少し心が軽くなったような気がする。やっぱり持つべきものは同志だ。



「凪くんもネタに困ったことあるの?」

「うん。俺も昔、謎のこだわり持っててさ。『色んな絵が描けてこそ一人前だ!』って思ってたから、絵日記に同じ絵は絶対描かなかった。だから毎年親を悩ませてたよ」



昔話を交えて答えてくれた。浮かべている苦い笑みから、相当困らせたんだなと読み取れる。


穏やかな凪くんも、今の私みたいに頑固だったのか。ちょっと意外。

ということは、どこかで心境の変化があったはずだよね。SNSの投稿、自然豊かな絵ばかりだもん。