砂浜に描いたうたかたの夢

「しょうがないだろう、田舎なんだから。ここは都会じゃないんだぞ」



毎日同じような日々の繰り返しで、描くものが思い浮かばなくなくなるという、ネタ切れに陥ることだ。



「ったく……どうしてお前はいつもいつも……」



繰り返された言葉が頭にチクッと突き刺さる。


そう、この状況に陥るのは、今回が初めてではない。

小学生の頃も、絵の部分に力を入れすぎて、1日に4つも描いたことがあった。


当時から同じものは描かない主義だったので、毎年ネタ切れに悩まされていたのだけど……。

アニメキャラクターの握手会や、割り箸で小物を作る体験など、夏休み中は子ども向けのイベントが毎週のように開催されていて。外に行けば何かしらネタはあったのだ。



「娯楽が少ない田舎に行くのは分かってただろう? なんで前もって対策しなかったんだ」



しかし、ここはお店や娯楽施設が少ない田舎。

といっても、道路は整備されてるし、バスも毎時間来てるみたいだから、ど田舎ではないものの。

近所のスーパーやコンビニまでは、徒歩だと軽く1時間以上はかかるため、車が必須なのだそう。