砂浜に描いたうたかたの夢

小学生ぶりの絵日記の宿題。今日は散歩という名のネタ探しに行けなかったため、日記帳の上部はまだ真っ白。

もう午後だし、そろそろ1つは得たい。



「日記のネタならいくらでもあるじゃないか。そのスイカとか、お父さんに奢ってもらったって書けば埋まるだろう」



起き上がりながら返答した父が、テーブルの上の食べかけのスイカを顎で差した。

メロンに続き、スイカも自分で切り分けたので、日記のネタとしては充分。

だけど……。



「違うよ。文章じゃなくて絵のほう」

「あぁそっち? なら、スイカの絵を描けば?」

「ダメ。先月食べた時に描いたから」



即行で否定すると、「ええー……」と父の眉間にシワが寄った。


40日間に及ぶ長い夏休み。

宿題は毎日しているので、【今日は数学の宿題が終わった】【今日は英語の宿題が終わった】など、書く内容がかぶってしまうのは仕方のないこと。



「別にいいんじゃないか? 40日もあるなら少しくらいかぶったって」

「嫌。手抜きしてるって思われる」