砂浜に描いたうたかたの夢

だけど、今の私にはそれを受け入れる余裕がないくらいに疲弊していたのだ。



「松川の気持ちは分かるよ。俺も当時は、決まったんなら早く教えろよって思ってた」

「……すみません」

「いいって。もし行き詰まったり、悩み事があったら、遠慮なく相談していいからな」

「……ありがとうございます」



ポソッとお礼を呟くと、「じゃあ早速相談していいですかー?」とクラスメイトの男子が手を挙げた。


やることは鬼畜だけど、こういうところは優しいかわちゃん。

彼のクラスを経験した先輩によると、気遣いに助けられたという人が結構多く、陰で評判がいいらしい。


寄り添ってくれるのはとても嬉しいし、ありがたい。

けど……身近な人だからこそ、本音ってなかなか言い出せないんだよね。







「ふぅ、ちょっと休憩……」


夏休みが始まって1週間。冷房が効いた自室で、両腕を枕にして机に突っ伏した。

時刻は夕方の5時。ちょうど今、数学の宿題が3分の1終わった。

先週、午後の時間を丸々使って立て直したのだけど、順調に進んでいる。

……今のところは、ね。