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11月の朝は寒い。
目を覚ましたはいいですけど、冷たい空気に体が震え、布団から出るのがためらわれてしまいます。
けど二度寝するわけにもいかず、もそもそと布団から身体を起こす。

こういう時、起こしてくれる家族がいてくれたらいいのにって思いますけど、仕方がありません。
中学に入ると同時に、私はこの四畳半のアパートで、一人暮らしを始めたのですから。

布団を押し入れに片付けると、部屋の済みの机に飾ってある、両親の写真に手を合わせます。

「おはよう、お父さんお母さん」

亡くなった両親に挨拶をするのが、毎朝の日課。
それからは歯を磨いたり、髪をツインテールにまとめたりと大忙しです。
今日はあまり乗り気じゃない行事があるので、ちょっぴり憂鬱なのですけどね。

「マラソン大会かあ、走るの苦手なのに」

ため息が出ますけど、もちろんサボるわけにはいきません。
だって今日のマラソン大会では走るだけでなく、祓い屋のお仕事もしなければならないのですから。