◇◆◇◆
『……ぼくサトルくん。今ミナト市にいるよ』
耳に当てたスマホから、くぐもった声が聞こえてくる。
ミナト市と言うのは、隣の県にある都市の名前。どうやら呼び出しの儀式は成功したようです。
私と葉月君は椎名さん達と別れて、公園から近くにある人気の無い神社へと移動していました。
もしも戦う事になっても、ここなら誰かに見られる心配もなさそうですから。
「サトルくん、お聞きしたいことがあるのですけど」
『ぼくサトルくん。今ミナト市にいるよ』
「サトルくん、聞いていますか？ サトルくん？」
『ぼくサトルくん。今ミナト市にいるよ』
こっちが何を話しても、サトルくんは同じことを繰り返すばかり。
やっぱり手順通りやらないと、質問に答えてはくれないみたいです。
「仕方ない、一度切りろう」
葉月君に言われた通り、スマホを切って、二人して息をつく。
「とりあえず呼び出しは成功したね。後は真由子ちゃんの居場所を、上手く聞き出せたら良いんだけど」
「聞き出せないと、椎名さん達に合わせる顔がありませんよ。明美ちゃんなんて、最後まで駄々こねていましたし」
危険ですから椎名さんたちは家に帰しましたけど、明美ちゃんはあたしも行きたいの一点張り。
説得するのに、苦労しました。
「きっとよほど、真由子ちゃんのことが心配なのでしょうね」
「うーん、どうだろう。本当にサトルくんが来るか気になってただけみたいに思えたけど」
「まさかそんなこと……あるかもしれませんね」
そういえばこの前の塀の壁のシミ事件の時も、明美ちゃんがイタズラしたのが原因でしたっけ。
連れて来なくて、正解だったかも。
そんな話をしていると、再びスマホが震えます。
出てみると、掛けてきたのはまたしてもサトルくん。さっきは隣の県にいましたけど、今度は県内にある市の名前を告げてきます。
「確か噂では、ここからだんだん、近づいてくるんだったよね」
葉月君の言う通り、それから電話が掛かってくる度に、サトルくんはだんだんとこっちに近づいてくる。
そうしてサトルくんは、とうとう隣町までやって来ました。
『ぼくサトルくん。今、隣町の駅にいるよ』
「だいぶ近くなりましたね。と言うことは、いよいよ次で到着でしょうか？」
「たぶんそうだろうね。背後にはくれぐれも気をつけて……っ！ 誰だ、そこにいるのは！」
急に大声をあげて、社の角に鋭い目をむける葉月君。
確かに気配がします。まさか、サトルくんが来たのでしょうか……。
「わー、待って待ってー。あたし達だからー！」
「え、明美ちゃん？ それに宗太くんまで」
社の影から現れたのは、家に帰したはずの二人でした。
「山本さん、やっぱり帰ろうよ。僕達がいたって、邪魔になるだけだよ」
「でも、お姉ちゃんたちは真由子ちゃんと会ったことないんだもの。あたしたちがいた方が何かわかるかもって、宗太くんだって言ったじゃない」
「それはそうだけど～！」
オロオロした様子で、明美ちゃんと私達を交互に見る宗太くん。
あー、うん。だいたいの事情はわかりました。
すると更に。
「あー、やっぱりアンタたちここにいたー！ 行っちゃダメって言ったじゃない！」
今度は鳥居の方から、椎名さんがやって来ました。どうやら二人を追いかけて来たようです。
『……ぼくサトルくん。今ミナト市にいるよ』
耳に当てたスマホから、くぐもった声が聞こえてくる。
ミナト市と言うのは、隣の県にある都市の名前。どうやら呼び出しの儀式は成功したようです。
私と葉月君は椎名さん達と別れて、公園から近くにある人気の無い神社へと移動していました。
もしも戦う事になっても、ここなら誰かに見られる心配もなさそうですから。
「サトルくん、お聞きしたいことがあるのですけど」
『ぼくサトルくん。今ミナト市にいるよ』
「サトルくん、聞いていますか？ サトルくん？」
『ぼくサトルくん。今ミナト市にいるよ』
こっちが何を話しても、サトルくんは同じことを繰り返すばかり。
やっぱり手順通りやらないと、質問に答えてはくれないみたいです。
「仕方ない、一度切りろう」
葉月君に言われた通り、スマホを切って、二人して息をつく。
「とりあえず呼び出しは成功したね。後は真由子ちゃんの居場所を、上手く聞き出せたら良いんだけど」
「聞き出せないと、椎名さん達に合わせる顔がありませんよ。明美ちゃんなんて、最後まで駄々こねていましたし」
危険ですから椎名さんたちは家に帰しましたけど、明美ちゃんはあたしも行きたいの一点張り。
説得するのに、苦労しました。
「きっとよほど、真由子ちゃんのことが心配なのでしょうね」
「うーん、どうだろう。本当にサトルくんが来るか気になってただけみたいに思えたけど」
「まさかそんなこと……あるかもしれませんね」
そういえばこの前の塀の壁のシミ事件の時も、明美ちゃんがイタズラしたのが原因でしたっけ。
連れて来なくて、正解だったかも。
そんな話をしていると、再びスマホが震えます。
出てみると、掛けてきたのはまたしてもサトルくん。さっきは隣の県にいましたけど、今度は県内にある市の名前を告げてきます。
「確か噂では、ここからだんだん、近づいてくるんだったよね」
葉月君の言う通り、それから電話が掛かってくる度に、サトルくんはだんだんとこっちに近づいてくる。
そうしてサトルくんは、とうとう隣町までやって来ました。
『ぼくサトルくん。今、隣町の駅にいるよ』
「だいぶ近くなりましたね。と言うことは、いよいよ次で到着でしょうか？」
「たぶんそうだろうね。背後にはくれぐれも気をつけて……っ！ 誰だ、そこにいるのは！」
急に大声をあげて、社の角に鋭い目をむける葉月君。
確かに気配がします。まさか、サトルくんが来たのでしょうか……。
「わー、待って待ってー。あたし達だからー！」
「え、明美ちゃん？ それに宗太くんまで」
社の影から現れたのは、家に帰したはずの二人でした。
「山本さん、やっぱり帰ろうよ。僕達がいたって、邪魔になるだけだよ」
「でも、お姉ちゃんたちは真由子ちゃんと会ったことないんだもの。あたしたちがいた方が何かわかるかもって、宗太くんだって言ったじゃない」
「それはそうだけど～！」
オロオロした様子で、明美ちゃんと私達を交互に見る宗太くん。
あー、うん。だいたいの事情はわかりました。
すると更に。
「あー、やっぱりアンタたちここにいたー！ 行っちゃダメって言ったじゃない！」
今度は鳥居の方から、椎名さんがやって来ました。どうやら二人を追いかけて来たようです。
