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椎名さんから相談があると言われて。私と葉月君は放課後、彼女に連れられて学校近くの公園に来たのですが。

「わあ、祓い屋のお姉ちゃんだ」
「本当に、美樹姉ちゃんと友達だったんだ」

公園で待っていたのは、目を輝かせている小学生の女の子と男の子。
この子達には見覚えがあります。前に塀のシミに宿っていた悪霊から、助けた子達です。

聞けば男の子の方、宗太くんは椎名さんの弟だと言うからビックリ。
世間って狭いですね。

「まさか姉弟そろって知世に助けられるなんてね。なんだか最近、あたしの周りって怪奇現象ばっかりじゃないの?」
「かもね。実はこういう事はよくあるんだよ。一度そういったものと縁が結ばれたら、似たような体験を何度もするようになったりするんだ」
「へえー、そうなんだ。今回の相談も怪奇現象絡みだし、本当にそういう運命になったのかもね」

葉月君の説明を聞いて、苦笑いを浮かべる椎名さん。
それで、その相談と言うのは何なのでしょう?

「相談があるのは、この子達なんですよね。宗太くんと、山本明美ちゃん」
「はい。実は僕達の学校で、変な噂が流れていて」
「同級生の真由子ちゃんって女の子が、サトルくんに連れて行かれて行方不明なの」

葉月君と顔を見合わせます。
行方不明とは、穏やかではありませんけど、サトルくんって。

「サトルくんって、うちの師匠と名前が似てるけど、ひょっとしてアレかな? 何でも質問に答えてくれる、都市伝説の『サトルくん』のこと?」

「その話なら私も聞いたことがあります。電話で呼び出すと質問に答えてくれるけど、もしも話している途中で後ろを振り返ったら、どこかに連れて行かれる、でしたっけ?」
「そう、そのサトルくん! 真由子ちゃん、昨日サトルくんを呼び出してみるって言った後、行方不明になっちゃったの! 真由子ちゃん、次のテストの問題を教えてもらうんだって言ってたのに」

テストの問題って。そんなもののために、サトルくんを呼び出しちゃったんですか!?

昔同じクラスだったケンタくんといい、この前のこの子達といい、どうしてこう危機感が無いのでしょう?