◇◆◇◆
修行で失敗して、心がズタズタになった次の日。
わたしは重い足を引きずりながら、通学路を歩いていた。
子供の数が少ない祓い屋の里だけど、ちゃんと学校はある。全学年合わせても10人もいない、小さな学校だけどね。
けど今日は、学校に行きたくなかった。だって行ったら、風音君と会うもの。
風音くん、泣いて逃げ出したわたしを、どう思っているかなあ。
昨日あれから家に帰って。夜になって帰宅した悟里さんは、何かあったことに気づいたみたいだったけど何も言わずに。
そのまま朝を迎えてしまった。
田んぼのわきを通りながら学校に向かっていたけど、途中でつい足を止めちゃう。
やっぱり、行きたくないなあ。
だけどサボったら、悟里さんに怒られるかなあ……。
「おーい、トモー!」
「———っ⁉」
悩んでいると、道の先から駆けてくる風音君の姿が。
どうしてこっちに来るの⁉ 今一番会いたくないのに!
と、とにかく逃げなきゃ。
だけど背を向けて走り出したものの、わたしの鈍足じゃ逃げ切れなくて、すぐに襟首をつかまれた。
「待ってって! 昨日は泣かせちゃってゴメン。お願いだから、俺の話を聞いて」
「話すことなんてないよ。わたしのことはもう放っておいて!」
「そんなことできるわけないだろ、妹弟子なんだから!」
有無を言わせずに引き留めてくる風音君。
そして何を思ったのか背負っていたランドセルから、昨日遊んでいたゲーム機を取り出してくる。
「どうして学校に行くのに、そんな物持ってきてるの?」
「細かいことは気にしないで。うちは校則ゆるいから、遊ばなければ持っていくのは自由なんだ。それよりこれを見る!」
ゲームで遊ぶ気分じゃないんだけど、強く言われてしぶしぶ画面を覗きこむ。
映っていたのはポケットなモンスターを戦わせたりボールで捕まえたりする、人気のRPGだった。
「俺たちが使う『滅』と『浄』だけどさ、あれは相手を攻撃して弱らせたところで浄化するだろ。このゲームで言えば、こんな感じになるわけ」
風音くんが操作するモンスターが相手モンスターに攻撃して、体力ゲージを大きく減らす。
九割くらい減って止まったと思ったら、今度はボール状のアイテムを使って、敵モンスターを捕獲した。
どうやら攻撃がわたしたちで言うところの『滅』。捕獲が『浄』だって言いたいみたい。
修行で失敗して、心がズタズタになった次の日。
わたしは重い足を引きずりながら、通学路を歩いていた。
子供の数が少ない祓い屋の里だけど、ちゃんと学校はある。全学年合わせても10人もいない、小さな学校だけどね。
けど今日は、学校に行きたくなかった。だって行ったら、風音君と会うもの。
風音くん、泣いて逃げ出したわたしを、どう思っているかなあ。
昨日あれから家に帰って。夜になって帰宅した悟里さんは、何かあったことに気づいたみたいだったけど何も言わずに。
そのまま朝を迎えてしまった。
田んぼのわきを通りながら学校に向かっていたけど、途中でつい足を止めちゃう。
やっぱり、行きたくないなあ。
だけどサボったら、悟里さんに怒られるかなあ……。
「おーい、トモー!」
「———っ⁉」
悩んでいると、道の先から駆けてくる風音君の姿が。
どうしてこっちに来るの⁉ 今一番会いたくないのに!
と、とにかく逃げなきゃ。
だけど背を向けて走り出したものの、わたしの鈍足じゃ逃げ切れなくて、すぐに襟首をつかまれた。
「待ってって! 昨日は泣かせちゃってゴメン。お願いだから、俺の話を聞いて」
「話すことなんてないよ。わたしのことはもう放っておいて!」
「そんなことできるわけないだろ、妹弟子なんだから!」
有無を言わせずに引き留めてくる風音君。
そして何を思ったのか背負っていたランドセルから、昨日遊んでいたゲーム機を取り出してくる。
「どうして学校に行くのに、そんな物持ってきてるの?」
「細かいことは気にしないで。うちは校則ゆるいから、遊ばなければ持っていくのは自由なんだ。それよりこれを見る!」
ゲームで遊ぶ気分じゃないんだけど、強く言われてしぶしぶ画面を覗きこむ。
映っていたのはポケットなモンスターを戦わせたりボールで捕まえたりする、人気のRPGだった。
「俺たちが使う『滅』と『浄』だけどさ、あれは相手を攻撃して弱らせたところで浄化するだろ。このゲームで言えば、こんな感じになるわけ」
風音くんが操作するモンスターが相手モンスターに攻撃して、体力ゲージを大きく減らす。
九割くらい減って止まったと思ったら、今度はボール状のアイテムを使って、敵モンスターを捕獲した。
どうやら攻撃がわたしたちで言うところの『滅』。捕獲が『浄』だって言いたいみたい。