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今日は日曜日。
ですが学校はお休みでも、祓い屋のお仕事はあります。

列車を乗りついでやって来たのは、とあるアパート。
ここに、今回の依頼者が住んでいます。

祓い屋協会に相談してきたのは大場さんという30歳男性の方。
何やら霊関係で困っている事があるらしく、詳しい事情は会ってから話すそうですが、その前に。

私はスカートのポケットからスマホを取り出すと、事務所に電話を掛ける。

「もしもし水原です。今アパートに到着しました。これから依頼者の所に向かいます」
『お願いね。水原さんなら心配ないと思うけど、しっかり頼むわよ』

電話に出たのは、祓い屋事務所職員の前園さん。
そして彼女は、思い出したように言います。

『あ、そうそう、今日は火村さんも行くことになったから、後で合流してね』
「悟里さんが? それはまたどうして?」
『ほら、前に水原さん言ってたじゃない。一人じゃ何かと危ないから、仕事には二人以上で当たった方がいいんじゃないかって』

そういえば以前、廃校の動画投稿者の霊の事件の後、そんな話をしましたっけ。
けど祓い屋は万年人手不足。なのに大丈夫なのでしょうか?

『正直余裕があるわけじゃないけど、水原さんの言うことももっともだからね。特にアナタは腕が立つとはいえ、まだ高校生なんだから。用心しておいた方がいいでしょ』

まあそうですね。何だか半人前扱いされてるみたいなのが、ちょっと引っ掛かりますけど。
中々一人前扱いしてくれないのは、悩みの種です。

あーあ、同じ中学生でも、あの人ならもっと信頼されているのでしょうか。

『水原さん、どうかした?』
「何でもありません。話はわかりました、私は先に現場入りしていれば良いのですよね」
『うん、お願いねー』

明るい声を残して通話は切れて、私はアパートを見上げます。

さあ、今日もお仕事です。