「―――あの!いつもコンビニで見てて!…連絡先とか交換してもらえないでしょうか!」



「教えてあげてくれないかな、この子ずっとあなたが気になるって言ってて」




コンビニって、ちょっと悪めの人達がたむろってたりするのは見たことあるけれど…ナンパは初めて見たかもしれない。




…日比人だ。




もやもやが止まらないの。




私じゃない、可愛らしい声が日比人に向いてる。私のいない所にいかないでほしい。




日比人の手には花柄のハンカチ。渡そうとした手は頬を赤くしている女の子にぎゅっと握られる。




ズキ




どれだけ人見知りでも、私では考えられないほど勇気をだして声をかけて渡すことができる日比人が大好き。




でも、嬉しいことなのに、嬉しくなれない。




日比人から「嬉しい」を貰えるのは私だけでいいなんて思ってしまう。日比人に「嬉しい」をあげられるのも私だけがよくて。




…ぜんぶぜんぶ、独り占めしたい。




「っひび、おまたせ!」




その隠しきれていない私を好きだって顔も、全てほしい。