幼馴染くんの好きな人は私でした。




「…恥ずかしいです、死んじゃいそうです」



「恥ずか死、って?つまんな」



「言ってないけど!?」




とても「幼馴染」のラインを遥かにこえてくっついている状況だとは思えない普段通りの会話。




恥ずかしい気持ちが大きすぎて泣きそうになる。




「ちょっとだけこっち向いて」


「…何秒?」


「じゅう」



「……せーの、」




ぐるん、と向きを変えて目に映ったのは近すぎる日比人の顔。でも顔が見えていたのは一秒くらいで、残りの九秒はぼやけた肌だけ。




「…っ」




二回目のキスは暗くてよく見えない。ドラマのように目を閉じるなんて技は使えないから、唇から漏れる空気を見つけることだけに必死で。




「ん…わ…っ」




知らない顔してる…大人みたい。




気づけば仰向けになっていて、口角をあげる日比人に対して苦しくて今度こそ涙が目尻に溜まる。十秒の内だから何も言えないのだけれど。




でも、嫌じゃない。…幼馴染だからかな、それ以上だからかな。




「…っじゅ、びょう!」



「ふ、可愛い」




結局、頬を膨らませるだけで怒れない私はまた日比人に背中を向けた。






「明日、和菓子屋行く?」



「…いいの?」



「ん、楽しみだね」