「違っ……! そんなんじゃ」 見とれていたと勘違いをされてしまったのかもしれない。脳裏で必死に否定の言葉を探した。 けれど、次に続く言葉が見つからず、口を閉ざす。 「冗談」 「…………」 その言葉を聞いて、からかわれていたのだと、少しだけ安堵する。良平さんと居ると、何故か自身のペースを乱されてしまう。 これも、彼なりの気遣いなのか。 それとも、作戦の一つなのか。 私には分かりそうもない。