「それよりお前こそ、一言も言わなかったじゃないか。ランサークルに入ってたなんて」

「いや……だって……公親先生がランに興味あるなんて知らなかったんですよ。
それにこのランサークル、純粋に走りたい人しか誘わないって、暗黙のルールがあって。無闇に誘えないんですよ」

なんだそれ?
大袈裟だな。

「参加者がちょっと……
まあ、公親先生ならなんの問題もないんだったな」

どういう意味だ。

「高等部は大西先生のとこと、島先生。
中学部からは前田先生と秋吉先生と俺、あとは校…」

「お? 公親、お前も来たのか?」

「と、父さんっ!?」

まさかの父親登場。
実は俺の父親は中学の校長だったりする。

「あら、公親?
あなた何してるの。寒いの苦手なのに。今日はいいお天気だったけど夜は寒いでしょ」

「母さんまで……」

驚愕だ……
たまたまフラッと参加したランサークルに、まさか両親がいるとは。

俺は大学卒業を機に実家は出ている。

たが、父親が中学部の校長をしているため、実家に帰らなくても職場でしょっちゅう顔は合わせているのだ。

しかし、ランサークルの話は聞いたことがない。
まあ、十中八九、俺が寒がりだからだろう。