「HSPって何?」
「簡単に言うと、感受性が高くて普通の人より繊細で敏感な人のことだよ」
繊細さんとかって呼ばれてるかなと付け加える。
「ふーん…」
あまりピンとこないかな。
まあ無理はないよね、無理に知ってもらおうなんてこっちも考えてないし。
しばらくシーンとした空気が続く。
面倒くさいって思っちゃうかな…。
「あのさ、僕昨日のこと覚えてないんだ」
「え、うん…?」
「僕、紫音に好きって言っちゃったの、覚えてない」
「あー、大丈夫だよ」
良かった、告白断ってて。これを快諾してたらとんでもないことになってた。
何か、私最低なやつみたいになってるけど、間違って言っちゃっただけなんだね。
私も彼氏と別れちゃったばっかだから、さすがにすぐ付き合うのは軽い女って思われていやだし。
けど、覚えてないって、なぁ…。
最初は、言い逃れみたいだなって思ってたけど、ADHDって知ったらこれも仕方ないって思うしかなくなる。
なら、都合良いねって言うのは、人として終わってたな。ごめん。
「あの、事前に言っとくけど羽叶とは付き合えない、ごめんなさい」
「うん、わかってる」
私から告白されることはないと思っているのか、もしくは私自身なんかに告白をしないという意味なのか。
どっちにしろ私には関係ない。
まあ私たち失恋した者同士だし。ただ、恋人関係だっだ人が唯一心を開いている友達だってだけで。
少し気まずくてきごちないだけだ。
中立者は、互いの価値観のすれ違いがよく分かる。
あの子はこう思ってるよって言いたいのに、教えてあげたいのに、言えなくてとても辛い。
自分が支える立場なのに、私はどうにかできた立場かもしれないのに、あの関係は崩れてしまった。
自分はその状況を体験するのではなく、何か刺激を与えられた場面をただ眺めて1本の糸が切れる瞬間を目の当たりにする。
なんて人だ…。こんなのを黙って見る私なんか…死んだ方がマシだ。



