婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 だからすべてを話すことにした。それに王族であるサルジュに嘘を言うことはできない。
「昼食のために席を外して戻ってきたら、このバッグが中庭の噴水に沈んでいました」
 この発言が及ぼす影響を考えながらも、落ち着いた声でゆっくりと告げた。
 ざわめく教室内で、サルジュの顔が瞬時に険しいものになる。
「この教室に置いていたのか?」
「はい、そうです」
 静かに頷く。
「嘘よ!」
 アメリアの言葉を否定する叫び声が聞こえた。
 振り返ると、取り巻きの令嬢達に囲まれたエミーラがこちらを睨みつけている。
「サルジュ様、騙されないでください。彼女はサルジュ様の気を引こうとして、そんなことを言っているのです!」
 素直に罪を認めるどころか、アメリアを責めてきた。
「自分で噴水に落としていたのよ。あなた達も見ていたでしょう?」