婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 それでも昼に出会ったマリーラやユリウス、サルジュのような人もいる。彼らに出会わなければ、学園に通う三年の間にアメリアは絶望していたかもしれない。
 ふと、周囲のクラスメイトがざわめいた。
 顔を上げると、教室の入口にひとりの男性が立っている。
 とても背の高い、赤い髪の青年だった。
 年は二十代半ばくらいだろうか。
 制服ではなく騎士服を着ている。この王立学園で剣を帯びているので、王族の正式な護衛だ。
 ユリウスが、サルジュの護衛を変更したほうがいいと言っていたことを思い出す。よくひとりで行動する彼の護衛は、とうとう本物の騎士が勤めることになったのだろう。
 赤い髪の騎士は入口に立ったまま、教室の内部を見渡した。
 髪と同じ赤い瞳が、生徒達の中からアメリアを見つける。