婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 いざ王都に来てみると自分のことで精一杯で、あまりリースのことを考えている余裕はなかった。
 学園なのだから勉強だけをしていればいいと思っていたのだが、そこは貴族ばかりが通う学校だ。お茶会やダンスパーティなども頻繁に開かれているようだ。
 しかも学園が開始されるとすぐに、新入生歓迎パーティがあるという。
(入学前にもらった学園スケジュールには、そんなことは書いていなかったのに)
 焦ったアメリアは、慌てて領地にいる母に手紙を送り、ドレスを送ってもらうことにした。
 もともと社交界にはあまり出なかったので、簡素なドレスしか持っていない。急いで送ってもらったのも、数年前に隣の領地のお茶会に招かれたときに作ったものだ。
「婚約者がいるのに、ドレスを贈ってもらわなかったの?」
 そう聞いてきたのは、寮で隣の部屋になったエリカ・コート伯爵令嬢だった。