婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 正直にそう告げると、彼女はアメリアの姿と、手にしたずぶ濡れのバッグを交互に見つめて眉を顰める。
「まぁ、ひどい。この王立魔法学園で、そのような嫌がらせをする者がいるなんて。あなたのクラスは?」
「一年生の、Aクラスです」
 それを聞くと彼女は、成績上位者がこんな稚拙な嫌がらせをするなんてと呟き、アメリアを見た。
「犯人に心当たりはあるの?」
「……憶測でしかありませんので、お答えできません」
 間違いなくエミーラの仕業だが、彼女がわざわざ中庭まで行って投げ捨てるとは思えない。すると実行犯は別の人間だろう。
「そう。だったら原因は? こうなったのには、理由があるでしょう?」
「私がアメリア・レニアだからです」
 理由なんて、それしかない。
 学園内に流れている噂を、さすがに彼女も知っていたのだろう。呆れたような溜息が聞こえてきた。
「それが、あなたのクラスメイトに関係があるの?」