婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 向こうも徹底的にアメリアを避けていたのだから、あの場所で会うとは思わなかったのだろう。
 早く寮に戻ろうとして急いで歩いていたので、リース達が図書室にいることを聞きつけて詰め寄ったのだと勘違いされたかもしれない。
 だから、あんなふうに彼女を庇ったのだろう。
 でもアメリアは急いでいたせいでリースだと気が付かず、むしろぶつかりそうになったことを謝罪するために会釈をして通り過ぎてしまった。
 さぞかし、向こうも拍子抜けしたことだろう。
 そう考えるとアメリアは思わず笑ってしまった。
 そして、もはやリースに対する未練が欠片も存在していないことを自覚する。
 仲の良い婚約者同士だったのは、もう過去のこと。
 まだ婚約は解消されていないが、リースは恋人のためにアメリアを貶め、アメリアはリースだと気が付かずに通り過ぎてしまうくらい、彼に対する関心を失っている。