婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 しかも近年は跡取りではない者や下級貴族の中には、本当に学生時代の恋人と結婚する者も出てきた。愛する人を選んですべてを捨てようとしたリースを、ひそかに応援していた者もいたのだろう。
 誠意をもって事情を話し、婚約を解消しようとしたリースを罵り、二人の恋を邪魔したことになっているアメリアは、知らないうちに完全に悪役になっていたのだ。
 でも、リースから婚約解消の申し入れなど届いていない。
 たしかに父は、土魔法の魔導師を婿入りさせたいと必死になっていたが、リースから婚約解消の申し出かあったなんて言っていなかった。もし本当にリースから婚約をそう言われていたのなら、それを受け入れるかどうかは別として、王都に旅立つ前に伝えてくれるはず。
 それなのに、どうしてこんな話になっているのだろう。
「君は、本当に何も知らないのか?」
 事情を話してくれたユリウスは、案じるようにアメリアを見ていた。