婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 そう言ってユリウスが話してくれたのは、とても信じられないような内容だった。
 リースは、去年の夏頃にある女性と懇意になった。カリア子爵家の令嬢で、セイラという名前のようだ。
 セイラを深く愛するようになったリースは、このままアメリアと婚約し続けることは難しいと、ドリータ伯爵である父に婚約の解消を申し出たらしい。
 だがアメリアはそれを承知せず、心変わりしたリースを酷く罵ったことになっているようだ。
「そんな話は、聞いていません……」
 取り繕うことも忘れて、アメリアはそう呟く。
 リースに愛する人ができて、婚約解消まで考えていたことには驚いた。だがそれよりもアメリアがそれを拒み、彼を罵ったことになっている方が衝撃的だった。
 学園の生徒がアメリアを見てこそこそと話していたのも、きっとこのせいだ。
 ビーダイド王国の貴族のほとんどは政略結婚だが、若いうちは恋愛結婚に憧れていることが多い。