婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「それよりも、兄上に聞きたいことがある」
 サルジュは表情を改めると、ユリウスに問いかける。
「どうした? お前がそんな顔をすると令嬢達は怯えるから、穏やかな顔をしていろと言っただろう」
 はっとしたように、サルジュの視線がアメリアに移った。いつも通りの穏やかな笑みを浮かべようとする彼に、ゆっくりと首を振る。
「私は大丈夫です。無理に笑う必要はございません」
「……そうか。アメリアがそう言うなら」
 その瞬間にサルジュの浮かべた笑みは自然で、だからこそ見惚れるほど綺麗だった。
「考えてみれば、別に関わりのない令嬢に怖がられたとしても問題はないな」
「いや、ある。せめて最低限は取り繕ってくれ」
 深く溜息を付きながら、ユリウスはサルジュとアメリアを見つめる。
「それで、サルジュ。何を聞きたかったんだ?」