婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 それなのにサルジュがひとりで食堂を訪れ、アメリアを庇ったのだから、誰もがなぜ彼がここにいたのか疑問に思うだろう。
 兄に問われ、サルジュはその理由を話す。
「アメリアに聞きたいことがあって探していた。食堂に入っていく姿を見て追いかけたら、あんなことになっていた」
 それでアメリアを庇い、咄嗟に手を出してしまったようだ。
「お前の護衛はどうした?」
 知らないとでも言うように首を振るサルジュに、扉を守るように立っていたユリウスの護衛達が、彼の護衛に同情するような顔をしていた。
 サルジュはこうしてひとりで歩き回ることが多いのだろう。
「あの、私に聞きたいこととは……」
 アメリアはそれよりもサルジュの質問が気になって、思わずそう尋ねていた。
「一昨年に解禁になった、冷害に強い小麦の新品種について。レニア伯爵領で取り扱っているのか気になった」
「新品種の小麦のことでしたか」