婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 さすがに彼女達も、アメリアを庇ってサルジュが出てくるとは思わなかったのだろう。彼に危害を加えるつもりがなかったというのは、間違いなく本当のことだ。
 だからアメリアは、わざとではなかったという彼女の言葉を聞き流した。いきなり罵倒され、熱い紅茶を掛けられそうになったが、冤罪で罰せられることを望むほどではない。もともと知らない人だ。
「そうか」
 ユリウスは静かに頷き、今度は視線を弟のサルジュに向ける。
「お前はどうしてあの場所に?」
 それはアメリアも不思議に思っていた。
 王族は薬物が混入される危険を防ぐために、他の生徒と一緒に食堂で食事をすることはない。彼らには専用の部屋があるはずだ。そこは王族の婚約者さえ容易に入室を許されないほど、厳重に守られている。
 ここまでするには、理由がある。
 光魔法はあまりにも貴重で、他の国ではほとんど失われている存在である。