婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 授業にも集中し、休み時間も机から動かずに勉強をして過ごす。
 それでも、移動しなければならないこともある。
(昼食だけは、食堂で食べなくてはならないわね)
 ここは領地とは違う。貴族令嬢として、教室や庭で食事をするのはさすがにはしたないことだ。
 ひとりで向かうと、通りかかった女子生徒達がこちらを見てくすくすと笑っている。
 この学園では、いかに貴族とあれど食事も自分達で運ぶ。だから彼女達もトレーを持って移動していた。これから席について食事をするのだろう。ひとりだなんて惨めね、とか。いい気味だわと聞こえてきたが、すべて無視していた。
 顔も知らない、上級生なのか同級生なのかもわからない人達に嘲笑われても、もう何も感じない。
「あら、手が滑ったわ」
 けれど何も反応しないことに苛立ったのか。