いずれはリースをアメリアの婿に迎えて、レニア伯爵家を継いでもらう予定だった。
 幼い頃から将来はリースと結婚するのだと言われていたので、アメリアは当然のようにそれを受け入れていた。
 リースとの関係も、悪くはなかったと思う。
 互いに恋をしていたわけではなかったが、それなりに仲良くしていた。
 いずれ自分が継ぐ領地という自覚があったのか、リースはよくレニア伯爵領を訪れていた。
 二人で領地の孤児院や農地を巡り、将来のことを語り合ったこともあった。領民達も勉強熱心なリースを若様と慕い、彼の訪れを歓迎していた。最初の頃は、何となく彼と一緒に出掛けていたアメリアも、そうしているうちに領主の妻としての自覚が出てきた。
 ふたりで、この領地を今よりも発展させよう。
 そう誓ったはずだった。

 その関係が変わってしまったのは、ひとつ年上のリースが王都にある王立魔法学園に入学してからだった。