けれど、自分が彼の傍に立つことなど許されないと、最初から諦めていた。
「わたくしも、そう思っていました」
 そう答えたマリーエは、ユリウスの婚約者の話になったときに、サルジュが自分の名前を出したことを知る。
 きっとアメリアと仲良くしていたからだろう。けれどそれを聞いたユリウスは、自分の気持ちを自覚したのだと話してくれた。
 あのふたりも、いずれ婚約するのではないか。
 マリーエはそんなことを思う。
 知らない間に囲い込まれていそうだと、思わず笑みが浮かぶ。けれどアメリアと義姉妹になれたらどんなに素敵だろう。
 大切な友人と、心から信頼して尊敬するユリアンと過ごす未来を夢見て、マリーエはうっとりと目を閉じた。