婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「元々、アメリアの婚約を阻止するために考えていたものだ。私は土魔法を使うことはできるが、属性は違う」
「そんなこと……」
 アメリアは首を振る。
 彼は自分の価値をわかっていないのだろうか。
 土魔法よりも桁違いに希少価値のある光魔法の魔導師であり、植物学を専攻し、この国の食糧事情を解決するために全力を尽くしている。
 その知識と貴重な魔法はこの国のみならず、帝国まで欲していると言われているくらいだ。
 たしかに父は、アメリアに土魔法の魔導師と結婚することを強く望んでいた。それもなりふり構わず、土魔法さえ使えたら誰でも良いと言わんばかりだった。
 それを知っていたサルジュは、アメリアの属性である水魔法の価値を高め、アメリア自身を当主にすればいいと考えていたのだ。
 女性が爵位を継ぐことは滅多にない。
 それでも後継者が他にいなかった場合など、過去に例がなかったわけではない。