婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 ただ純粋に魔法に対する興味だけの者もいれば、何かを成し遂げてやろうと野心を持つ者もいる。
 そんな多種多様の人達が集まった場所なのだ。彼らが力を合わせたら、より良い考えが生まれるのかもしれない。
 魔法研究所自体は、素晴らしいことだ。
 この国の魔法はこれからますます発展していくだろう。天候に左右されるこの大陸にとって、まさに希望の光となり得る存在となる。
 だがサルジュは本来、ひとりで思考することを好む人間だ。彼に必要なのは周囲の意見ではなく、静かな環境だった。
「豪華な設備も大量の本もいらない。私には、アメリアがいてくれたらそれでいい」
 それは、こんな場所でふたりきりだからこそ口にしただろう、彼の本音。
 頼られていた。
 アメリアの胸に、嬉しさがじわりと広がっていく。
「そんなことを言われたら、勘違いしてしまいますよ」
 嬉しくて恥ずかしくて、それを誤魔化すように言った。