婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「いえ、ありません。雨が降らずに土地が乾燥していて、植物が育たないとか」
「乾燥に強い植物。いや、植林の方が有効か……」
 砂漠に興味を示すサルジュに、縋るような視線がアメリアに集まる。
 アメリアも砂漠には少し関心を抱いていたが、それは言わないほうがよさそうだ。
「サルジュ様。乾燥に強い植物よりも先に、水魔法を開発しなければなりません」
「ああ、そうだな、それが先だった」
 納得して頷くサルジュの姿にほっとする。
「アメリア、サルジュを頼むよ。あれは十年前、ベルツ帝国にしかない植物を見に行こうと言われて連れ出されているんだ」
 あのときから変わっていないと、アレクシスは呆れたように言う。
「……帝国にしかない植物が?」
「ああ、駄目だ。アメリアも向こう側の人間だった」
 思わず身を乗り出すと、ユリウスが呆れたように、何だか聞き覚えのある言葉を告げる。
「カイド、ふたりを頼む」