婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 リースの言葉が本当なら、カリア子爵家は娘を屋敷に匿っている。その調査も必要だろう。
「それにしても、土と水の魔法か。帝国の領土で砂漠化が進んでいるという噂は本当だったか」
 ユリウスが腕を組んでそう呟く。
「砂漠、ですか?」
「ああ。こちらの冷害と同じ時期に、向こうは雨が少なくなり、砂漠化に悩まされているそうだ」
 しかも帝国には、魔法を使える者がほとんどいない。解決する手立てがなく焦っているのかもしれない。
「それにしても、支援を要請するのならまだしも、強引に連れ去ろうとするとは。あの国は、十年前から何も変わっていない」
 苛立ちを隠そうともせずにそう言うユリウスに、アレクシスもエストも頷く。
「……砂漠か。見たことはないな」
 だが、サルジュがぽつりと呟き、兄達は唖然とした様子で弟を見る。
「アメリアは見たことがあるか?」