婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 彼に駆け寄ろうとしたアメリアの腕を、リースが掴む。
「アメリア、僕は……」
「……いい加減にしてっ!」
 アメリアは振り返ると、掴まれていた腕を振りほどき、リースの頬を思い切り平手打ちした。勢い余って倒れるリースを顧みることなく、そのままサルジュの元に駆け寄る。
「サルジュ様」
「……無事でよかった」
 そのまま抱きしめられ、背中を包み込む腕の温かさに、ようやく安堵する。
「彼はベルツ帝国と通じているようです。私を連れて帝国に行くと言いました」
 そう証言すると、周囲が途端に殺気立つ。
 アメリアに頬を打たれて呆然としていたリースは、すぐに警備兵に取り押さえられ、そのまま身柄を騎士団に引き渡されたようだ。
 すすり泣きの声がして顔を上げると、指輪を探していた令嬢が、こちらを見て泣いている。どうやら彼女が異変に気が付き、警備兵を呼んでくれたらしい。
「私のせいで、申し訳ございません……」