婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「もう少し君と話してみたいが、これから王城に戻ってやらなければならないことがある。すまないが、先に失礼するよ」
 エスコートしたのに、最後まで送り届けられないことを詫びてくれたが、アメリアは慌てて首を振る。
「いえ、とんでもございません。ここまで連れてきていただいてありがとうございました。ダンスも、とても楽しかったです」
 令嬢らしくない返答だったかもしれない。それでも、楽しかったことを伝えたくてそう言うと、サルジュは穏やかに笑みを浮かべ、アメリアの手の甲に口づける。
「アメリア嬢。どうぞ楽しい夜を。また学園で会いましょう」
 そう言うと、颯爽と立ち去っていく。
 アメリアは彼と踊ったのが信じられなくて、その姿が見えなくなるまで見送っていた。
 次の音楽が始まって、我に返る。