婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 サルジュはいつも通りだが、そんな彼の会話についていくどころか、時には先に提案するアメリアの聡明さに、感嘆の声が上がっている。
 もっともアメリアは周囲のそんな反応にまったく気が付かず、いつものようにサルジュと会話をしていた。
 そんなふたりに近付けたのは、アメリアの家族だけだ。両親と話し、サルジュに叔父と従弟のソルを紹介する。サルジュもカイドとミィーナを呼び寄せ、彼女にソルを紹介した。挨拶を交わして微笑み合うふたりの相性は悪くなさそうで、アメリアもほっとする。
 これでレニア伯爵家は安泰だろう。
 気分転換にソルと踊り、サルジュのところに戻ろうとしたアメリアは、ふと髪がほつれていることに気が付いた。
「あら……」
 彼の元に戻る前に、きちんと身なりを整えるべきだろう。
 従弟に断りを入れて、控室に向かう。