婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 長年の婚約が白紙となり将来が心配だった娘が、第四王子サルジュの優秀な助手として認められ、レニア伯爵家には念願の土魔法の魔導師が嫁いでくれるかもしれない。
まさに夢見心地な父に、次にサルジュはアメリアと協力して、新しい水魔法の開発をしていることを告げた。
「新しい水魔法、ですか」
「そうだ。まだ時間は掛りそうだが、もし成功すればこの国の未来を救う存在となるだろう。水魔法は私の専門ではないから、アメリアにはいつも助けられている」
「……水魔法が、アメリアが、殿下のお力に……」
 父は俯き、両手を強く握りしめていた。
 話が終わり、王城から退出したあとも、父はずっと黙り込んでいる。
 寮に戻るために途中で別れなくてはならないアメリアは、そんな父に少し不安を覚えながらも、母と話をした。
 当日はゆっくり話をすることなどできないだろう。