婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「これからも彼女には、私の傍で支えてほしい。だが、彼女はレニア伯爵家の唯一の後継者だと聞いている」
「それならば、問題ございません。私の弟にはふたり子どもがおります。その弟の方を養子に迎えて後継者とするつもりです」
 あれほど土魔法に拘っていた父かあっさりとそう言ったことに、アメリアも母も驚いた。
「アメリアの従弟に。婚約者は決まっているのか?」
「いいえ、まだ婚約者は決まっておりませんが、来年になれば学園に入学します。それまでに決める予定です」
「来年か」
 サルジュはそう呟いて、少し考えるような素振りをする。
「私の護衛騎士の妹が同じ年頃だ。エデッド伯爵家の次女だが、土魔法の魔導師でね。それを活用させるために、農業の盛んな領地の家に嫁ぎたいと言っているそうだ」
 似合いかもしれないね、と言った彼の言葉に父は息を呑む。
 サルジュの仲介となれば、もうこの婚約は決まったようなものだ。