婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 ユリウスの婚約披露パーティに参加するため、王都にやってきた両親に事情を説明してくれたのは、サルジュだった。
 パーティの数日前に王都に到着した両親は、アメリアとともに王城に呼ばれていた。
 もう何度も王城に行き、専用の部屋まで用意されているアメリアと違って、両親は落ち着かない様子だ。
 たしかに理由もわからずに王城に呼び出されたら、不安になるのも仕方がない。しかも娘はすっかりこの場所に馴染み、顔見知りの侍女までいるほどだ。
 これで謁見室にでも連れて行かれたら、緊張のあまり倒れてしまったかもしれない。けれどサルジュが待っていたのは客間のひとつで、従者がひとり、部屋の隅で待機しているだけだった。
「アメリア。わざわざ来てもらってすまないな」
「いいえ、とんでもございません」
 実際のところ、サルジュがなぜ自分と両親を呼んだのか、アメリアにもはっきりとした理由はわからなかった。