婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 そんなことになったら、サルジュに迷惑をかけてしまう。言葉を選びながら何とかそう伝えると、ソフィアはふと真顔になった。
「むしろ助かるのよ。ごめんなさい。あなたには無理ばかり言っているとわかっているのだけれど……」
 当日は近隣諸国からの祝いの使者も訪れる予定だが、その中にベルツ帝国の人間が潜り込んでいるのではないかという噂があるようだ。
 もちろん警備は万全だし、彼らは怪しい者を王城に入れたりはしない。
 だがサルジュは研究に気を取られていると、どこに行くかわからない。
 王家では、彼をおとなしくさせるにはアメリアを傍に置くのが一番だという結論を出した。
 年頃の男女がずっと傍にいるためには、婚約者を装うのが一番だ。
 そう懇願するように言われてしまえば、もうこう答えるしかなかった。
「私でお役に立てるのでしたら」