婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 そう謝罪してくれたのはもちろんリースではなく、魔法を使ったサルジュだ。
「いえ。サルジュ様のせいではありません。むしろ彼の本音を聞けてよかったです」
 過去を振り切るように首を振り、そして笑ってみせる。
 リースは違っていたかもしれないが、アメリアにとって彼と過ごした日々は大切なものだった。彼の裏切りによって少しずつ色褪せ、形を失っていたけれど、それでも最後まで捨てきれなかった。
 それは、すべて誰かから聞いた話ばかりで、リースから直接聞いた言葉ではなかったからだ。
 でもこれで完全に、過去の思い出を振り切ることができる。
「事実無根の噂を広げてアメリアの名誉を失墜させ、さらに伯爵家の乗っ取りまで計画していたとは、かなり悪質だ。退学になるのはアメリアではなく、君達のようだ」
「……あ」
 サルジュの言葉に、リースがその場に崩れ落ちるようにして座り込む。