婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

「何年も前からずっとデータを書き記していましたが、あまり活用できず、倉庫に山積みになるだけでした。ですから今は、サルジュ様のお役に立つことができて、とても嬉しいのです」
 思ってもみなかった言葉なのか。
 サルジュは戸惑ったようにアメリアを見つめる。本心からの言葉だと彼に伝わるように祈りながら、柔らかく微笑む。
 その笑顔にはっとしたように、彼は僅かに視線を逸らした。思いがけないことを言われたからか、その白い頬が少し赤いようにも見える。
「それに、魔法の理論を話すのも楽しいです。まだまだ私には知識が足りませんが、そのためにも特Aクラスに入りたい。そこで、今以上に学びたいと思います」
 特別クラスでは、今よりもサルジュの手助けができるようなことを学びたい。だから国王陛下ではなく、ユリウスの推薦状で構わないのだと告げる。
「……そうか」